今回、アドバイスご希望のワンちゃんは6歳のコーギーの男の子です。
ジャパンケネルクラブによるとコーギーの体重は10〜12kgが適正と言われていますが、今回ご相談のコーギーちゃんは16kgとかなりのがっちり体型。どんなフードをどれくらい食べているのか、おやつはどんなものを与えてらっしゃるのか、とても気になりますが、まずは適正体重のコーギーちゃんが1日どれくらいのカロリーを必要としているのかを計算してみます。これには、
- RER(安静時エネルギー要求量)
- DER(1日当たりエネルギー要求量)
という2種類のエネルギー要求量の計算を行います。
1日に必要なカロリーを計算します
- RER = 30×体重(kg)+70
- DER = RER×係数
仮に適正体重10kgのコーギーですと、安静時のエネルギー要求量(RER)は
(安静時エネルギー要求量RER) 370kcal = 30 × 10kg + 70
となります。
さらに、そのライフステージと活動量から1日当たりのエネルギー要求量(DER)を求めます。
DERを求める計算式は、DER = RER×係数 です。係数は図1の表から1.8ですが、コーギーは非常に運動量の多い犬として知られていますので、
ここでは2.0とします。
犬のDER | |
---|---|
去勢・避妊していない成犬 | 1.8×RER |
去勢・避妊済みの成犬 | 1.6×RER |
肥満傾向 | 1.4×RER |
高齢 | 1.4×RER |
妊娠中 1〜4週 5〜6週 7〜8週 |
2.0×RER 2.5×RER 3.0×RER |
授乳中 | 4.8×RER |
成長期 4ヶ月未満 4〜9ヶ月 10〜12ヶ月 |
3.0×RER 2.5×RER 2.0×RER |
すると、
(1日当たりエネルギー要求量DER) 740kcal = 370kcal × 2.0
1日あたり740kcal、ドライフードにすると180〜200グラムが目安となります。
注意:今回のケースのように本格的なダイエットは獣医師の指導の下で行なってください。ただし軽度〜中度の肥満であればまずおやつを制限して体重の変化をチェックします。1週間で体重が1%減るくらいの割合で徐々に体重を減らしていくのが適当と言われています。その際、愛犬の空腹感を抑えるために1日のフード量を3〜4回に分けて与えるのがよいでしょう。
甘やかし過ぎではないでしょうか
お話を伺うと1日の給餌量はなんと300グラム。さらにおやつも食べさせているとのことで、飼い主様も苦笑い状態です。当然、がっちり体型になってしまいますよね。。(汗)
コーギーは胴長短足の体型から椎間板ヘルニアになる確率の高い犬です。
適切な体重コントロールで足腰への負担をできるだけ減らす必要があります。さらにシニア期を前にしてのこの肥満が今回のご相談されるきっかけとなったとのこと。
しかし、既にダイエット用の療法食は試され、全く食いつかず仕方なく元のフードに戻したとのお話。
フードの切り替えは従来のフードに新しいフードを少しずつ混ぜながら1〜2週間かけて切り替えるよう、またぬるま湯でふやかすなどして腹持ちを良くするようアドバイスさせていただきました。
ここまでお話をさせていただき、差し出がましいとは思ったのですが、もう一点、「飼い主様、コーギーちゃん甘やかし過ぎではないでしょうか」
コーギーは飼うのが難しい犬種の一つです。性格にもよりますが、非常に活発でとても頭のいい犬です。飼い主様との信頼関係を上手く築けないとわがまま放題な子に育ってしまいます。まずは、ワンちゃんとの信頼関係を作ることからはじめてみましょう。今回は肥満への対処方法についてのアドバイスでしたが、最終的には近くのしつけ教室をご案内して終わりました。
最後に飼い主様がおっしゃられた「この子の幸せを一番に考えたい」という言葉がとても印象的でした。 この度はお問合せいただきましてありがとうございました。