「急にドッグフードを食べなくなった」「食べる量が減った」といった愛犬の食欲不振に不安を感じる飼い主様は、数多くいらっしゃいます。体調不良や病気を心配する方々も少なくありません。犬がご飯を食べなくなる理由には、どのようなものがあるのでしょうか?
今回は、犬の食欲不振が生じる4つの主な原因と、原因別の対処方法について、具体的に解説します。
食欲不振以外に普段と違う様子(嘔吐・下痢・元気がない・水も飲まないなど)があれば、緊急を要する場合もありますので動物病院の受診を強くお勧めします。
犬がご飯を食べない主な4つの原因
犬がご飯を食べない、食欲がない主な原因としては、以下の4つが考えられます。
1. わがまま
2. 病気
3. ストレス
4. 加齢
食欲不振の主な原因と、原因を特定するポイント、割合(当サイトに寄せられたご相談2,559件のうち、愛犬の食欲不振に関するものを分類集計:2023年8月現在)を、以下の表にまとめました。
原因 | 判断のポイント | 割合 |
---|---|---|
わがまま |
普段と変わらず元気はあるが、次のような状態である。
|
60% |
病気 |
|
20% |
ストレス |
次のような環境の変化があった。
|
15% |
加齢 |
|
5% |
4つの原因別の適切な対処方法を、以下にご紹介します。
わがままが原因でご飯を食べない場合の対処方法
4つの原因の中で、最も多いのはわがままに関するもので、当サイトに寄せられるご相談全体の60%を占めています。元気があって普段と変わった様子もなく、以下の状態が見られるケースは、わがままが原因だと考えられます。
※食欲不振が48~72時間以上続く場合は、動物病院の受診をお勧めします。
・フードは食べないがおやつは食べる。
・フードの切り替え後、新しいフードを食べなくなった。
・問題行動を伴う食欲不振がある。
※一般的には、食欲不振が48時間程度続く場合は、動物病院に相談したほうがよいとされます。当サイトでは犬の個体差を考慮して、病院受診の目安を48~72時間以上と記載しています。もちろん、すべてのケースで72時間以内の食欲不振であれば問題ないわけではありません。愛犬の様子を細かく観察した上で、普段と異なる様子が見られたら、早めにかかりつけの動物病院に相談しましょう。
ご飯を食べない原因がわがままだと考えられるケースでは、以下の対処方法を試してみましょう。
1. ドッグフード以外のおやつを控える
嗜好性の高いおやつを与えすぎると、満腹になった犬はドッグフードを食べなくなってしまいます。また人が食べるものは味が濃いものが多いため、人の食べ物を与えていると、主食であるドッグフードを食べなくなります。
おやつや人の食べ物を与えないようにすることで、食欲不振の解消だけでなく、栄養の偏りや肥満などを防ぐこともできます。
ドッグフードを与えても食べない場合は、20~30分ほど様子を見てからいったん食器を下げ、出された時にきちんと食べることを学習させることも、重視すべきポイントです。
2. フードの切り替えを適切に行う
ドッグフードを急に新しいものに変えてしまうと、警戒心からフードを食べなくなることがあります。
ドッグフードを新しいものに切り替える際には、従来のドッグフードと新しいドッグフードを混ぜて与え、徐々に新しいフードを多めにしていきましょう。新しいフードの割合を少しずつ増やし、1~2週間程度の期間をかけて段階的に切り替えることをお勧めします。
詳しくは以下の記事を参考にしてください。
ドッグフードの切り替え。注意ポイントのまとめ。
3. フードの匂いを強くする
食べ物の美味しさを構成する「味」「風味=匂い」「食感」などの中でも、犬にとって最も重要なのは「匂い」だと言われています。犬は、人の10~50倍もの嗅細胞(匂いを感じる細胞)を持っており、食べるかどうかをまず「匂い」によって判断します。
愛犬の食欲不振が気になる場合は、フードの匂いを強くする方法を試してみましょう。油脂や嗜好性物質などでコーティングされていないドッグフードには匂いが強くないものもあります。このタイプのフードを与える際には、人肌程度に加熱して匂いを強くすることで、食欲の改善が期待できます。
また、匂いが強く、嗜好性が高いものが多いウェットフードをドライフードに混ぜる、あるいはウェットフードに切り替えるという方法も、検討する価値があります。
詳しくは以下の記事を参考にしてください。
ドッグフードのにおいが原因?犬がご飯を食べない時は
2,500件以上の愛犬・愛猫の食欲不振に関するご相談の声から生まれた「ふりかけ」 食欲を呼び覚ます鹿肉の「におい」
当サイト「ネイチャーライフ」には愛犬・愛猫がご飯を食べてくれないというご相談が、毎日のように寄せられています。その数は2,559件に上ります(2023年8月現在)。 ペットの食のプロである私たちは、毎日飼主様と悩みを共有する中で、愛犬や愛猫にストレスを与えることなく、食欲を改善する方法を追求してきました。そして「体によいもの」を毎日喜んで食べてもらえ、飼主様の負担にならない 手軽さというコンセプトを追求し、フードにトッピングする「太古の記憶 甦れ食欲!ふりかけタイプ」を開発しました。国内野生鹿を原料とし、特殊な乾燥技術を採用して旨味や風味を損なうことなく、商品化を実現。袋を開けた瞬間にふわりと香る鹿肉の匂いが、愛犬・愛猫の食欲を刺激します。
4. 問題行動を防ぐ「しつけ」の実践
当サイトに数多く寄せられる犬の食欲不振に関するご相談の中には「フードボウルから食べない」「フードは食べずにおやつだけを食べる」といった、食事に関する問題行動が含まれているケースがあります。
こうした問題行動の多くは、適切な「しつけ」ができていないことが原因だと考えられます。フードを問題なく食べさせるには、食事のしつけを実践することが必要不可欠です。
ドッグフードを食べない場合は、20~30分ほど様子を見てから食器をいったん片付けるようにしましょう。おやつなどの他の食べ物を与えたり、無理に食べさせたりする必要はありません。この対応を繰り返すことで、愛犬が「ご飯は食べないと無くなってしまう」ということを学習すれば、用意されたドッグフードをしっかりと食べるようになるはずです。
病気が原因でご飯を食べない場合の対処方法
当サイトに寄せられる「犬がご飯を食べない」というご相談のうち、20%が病気による食欲不振となっています。
ご飯を食べないだけでなく、普段と違う様子が見られる際には、注意が必要です。以下のような様子・症状に気付いたら、できるだけ早めに動物病院を受診することをお勧めします。
・元気がない、ぐったりしている
・嘔吐
・下痢
・水も飲まない
食欲不振が生じる主な病気には、消化器系や肝臓、腎臓などの病変・不調があります。感染症や呼吸器疾患も食欲不振の原因となります。また、口内炎や歯周病、口腔内腫瘍などによって口の中に痛みが生じると、ご飯が食べられなくなることがあります。
元気があり、ご飯を食べないこと以外に普段と違う様子や症状が見られなければ、食事内容や食事に関する行動を再確認してみましょう。ただし、ご飯を食べなくなってからの期間が様子見で大丈夫とされる48~72時間(2~3日)を超えた場合は、動物病院の受診をお勧めします。
※一般的には、食欲不振が48時間程度続く場合は、動物病院に相談したほうがよいとされます。当サイトでは犬の個体差を考慮して、病院受診の目安を48~72時間以上と記載しています。もちろん、すべてのケースで72時間以内の食欲不振であれば問題ないわけではありません。愛犬の様子を細かく観察した上で、普段と異なる様子が見られたら、早めにかかりつけの動物病院に相談しましょう。
詳しくは以下の記事を参考にしてください。
犬がご飯を食べない!何日まで様子見?食欲不振の原因と対処方法
ストレスが原因でご飯を食べない場合の対処方法
犬はストレスによってご飯を食べなくなることがあります。犬の性格や環境などによって、ストレスの原因は異なります。代表的な事例としては、以下のような環境の変化が挙げられます。
・ペットホテルに預けた。
・引越しした。
・留守番させることが多くなった。
・子犬や新しい家族をお迎えした。
・新しいフードボウルを使い始めた。
生活環境の変化による食欲不振が考えられる際には、しばらくご飯を置いたままにして様子を見るようにしましょう。
留守番の増加や散歩時間の減少といった変化がある場合は、飼い主とのコミュニケーション不足がストレスの原因になっていると考えられます。散歩を長めにする、愛犬とふれあう時間を増やすといった点に留意して、十分にコミュニケーションをとることが大切です。
加齢が原因でご飯を食べない場合の対処方法
犬の食事量は、加齢による活動量や内臓機能の低下などに応じて、減少してしまいます。嗅覚や味覚の衰えによって、食事の嗜好性が低下する場合もあります。少量でも十分に栄養が摂取できる、バランスのよい食事を提供しましょう。
特にハイシニア期(大型犬で8歳〜/小型犬で11歳〜)では、消化機能の衰えや活動量の低下などによって食べる量が減ることが多いため、持病の有無に関わらずかかりつけの動物病院を定期的に受診することをお勧めします。
また、高齢犬は口内環境も悪化しやすいため、ドライフードを人肌程度に温める、お湯やササミの茹で汁でふやかすといった工夫が有効な対処方法のひとつです。嗜好性と食感に変化をつけることによって、食いつきが変わるケースもあります。
詳しくは以下の記事を参考にしてください。
老犬がご飯を食べない!高齢期は仕方ないの?原因と対策
まとめ
本記事では、愛犬がご飯を食べない主な原因と有効な対処方法についてご紹介しました。 若くて持病のない犬の場合は、食事内容や食事に関する行動を見直すことによって、食欲不振が解消されるケースも多く見られます。持病を持つ犬や高齢犬の場合は、普段から毎日の体調の変化を細かくチェックするように注意し、気になることがあれば、早めにかかりつけの動物病院に相談しましょう。
やっぱり食べてくれない場合
健康にも問題がなく、色々対策を練ってみたけど、それでもご飯を食べてくれない。そんな時は当サービスにご相談ください。 アドバイザーが直接状況をお伺いいたしますので、次のことをあらかじめご確認ください。
- 犬種、年齢、性別、体重、去勢・避妊手術の有無、性格
- 使用しているフード名・おやつ
- 1日のフードの量と与え方
- フード以外に与えているものの有無(薬やサプリメント等)
- 使っている薬またはサプリメント等
- いつから(どんな状況で)食べなくなったか
- これまでに試したこと
- 獣医師の診断の有無
- 飼育環境(室内or屋外、冷暖房、留守番の時間など)
- お散歩の状況