高齢になると活動量、内臓機能の低下からある程度食事量が減少することは仕方のないことです。しかしながらドッグフードをほとんど食べない、またはまったく食べないとなると注意が必要です。食欲の低下は病気の初期症状であることが多く、早めに病院を受診することをおすすめします。ここでは健康に問題はないのにご飯を食べない愛犬への対処法方をご説明したいと思います。
老犬がご飯を食べない場合、次のことを試してみましょう
病院で異常無しと判断されたのに、やはり食べない場合どうすればよいのでしょうか。 高齢になると嗅覚、味覚の衰えや常用薬の影響で食事の嗜好性が低下することがあります。いつも食べていたドッグフードを食べない場合、まず次のことを試してみましょう。
- ドライフードを温めて嗜好性を上げる。詳しくは次の記事を参考にしてください。
- ドライフードをお湯やササミの茹で汁等でふやかしてみる。(嗜好性と同時に食感や消化もよくなる)
- ウェットフードに変えてみる。(一般的にドライフードよりウェットフードの方がニオイが強く、食いつきが良い。また消化にも良い。)
また、犬は甘味を感じることができ、「サツマイモ」や「りんご」など甘い食べ物をトッピングすることで食欲が増し、食いつきが変わる可能性があります。
(ただし、「ぶどう」など犬が中毒を起こす可能性がある食材でないことをしっかりと確認するようにしましょう。)
このように食事の内容を変えながら食いつきの変化を観察してみましょう。ここまではフードに一手間加えることで食いつきの改善を図る方法をご紹介してきました。次はフード自体を変える方法です。合わせて高齢犬に適したフードとはどのようなものかも考えていきたいと思います。
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フードを変えてみる
いろいろ試してみたけどやっぱり食べないということもあります。持病がなければ色々なフードにチャレンジし、愛犬の気に入るフードを探してみましょう。
ここでは高齢期の愛犬の体の変化から適切と思われるフードをいくつかご紹介します。(もちろん、ここで紹介するフードが全てではありません。)
犬の高齢期は「シニア初期」と「ハイシニア期」の2つのステージに分けられます
高齢期に入った犬の体は「シニア初期」と「ハイシニア期」の2つのステージを経て変化していきます。シニア初期である高齢期の始まり(大型犬なら5〜7歳 / 小型犬なら7〜10歳)では運動量の減少で太りやすくなります。よって、カロリーを控えめにした食事が適していると言われています。しかし、さらに高齢(ハイシニア)になると消化能力の低下と食事量の減少で逆に痩せやすくなると言われています。痩せすぎもまた健康によくありませんので、体重減少がみられる場合は高カロリーで消化吸収の良いハイシニア用ドッグフードに切り替え、様子を見る必要があります。
ステージ1(シニア初期)…体や食事量の変化は少ないものの活動量の低下から太りやすくなる。
→ カロリー控えめのシニア用ドッグフードが適している。
すでに肥満傾向がある場合は次のダイエット記事を参考に適正体重を目指しましょう。
ステージ2(ハイシニア期)…体の内と外の変化が見られ消化能力の低下、食事量の減少から痩せやすくなる。
→ 高カロリー(食事量が少ない場合は少量でも必要なカロリーが補いえるよう)で消化吸収の良いハイシニア用フードが適している。
また、ミネラルの一種である「リン」の過剰摂取が腎臓病の進行を早めることが知られています。腎臓病は高齢犬に多く、症状が現れないまま進行します。よってシニア初期からは比較的「リン」の含有量が多くないフードを選択することも必要です。
ドッグフード選びのご相談も受け付けておりますのでお気軽にご相談ください。
シニア初期のおすすめフード
上でお話しした通り、シニア初期は高齢期の始まりで大型犬なら5〜7歳 / 小型犬なら7〜10歳とされています。活動量が減少する一方、食べる量が変わらなければ太りやすくなってきます。
肥満は様々な病気の引き金になりますので、できるだけ適正な体重を維持するよう心がけましょう。
愛犬の肥満対策!ダイエット方法のご紹介
シニア初期用のフードの中には脂肪分を制限し、カロリー控えめにしたものもあります。既に肥満傾向があればそのようなフードを試してみるのもよいでしょう。
また、適切にタンパク質を含むものを選んであげましょう。愛犬の体を維持するためタンパク質は非常に重要ですが、過剰なタンパク質は腎臓に負担をかけます。AAFCO栄養基準ではドラフードベースで下限値18%とされ、この値を大きく上回るタンパク質は高齢犬の体の維持というよりはむしろ腎臓に負担をかけてしまう恐れがあります。
(高齢犬のタンパク質要求量は維持期と比べ増える傾向にありますが、成長期ほどではありません。よって18〜23,24%程度が適切ではないかと考えられます。)
また「リン」の含有量が比較的少ないものを選ぶのも一つポイントと言えます。AAFCOの栄養基準ではドライフードにおけるリンの含有量は0.5〜1.6%の範囲内であれば適正とされており、比較的含有量が少ないものを選ぶ場合は下限値である0.5%に近いものを選ぶと良いでしょう。
以下に紹介するフードはタンパク質を過不足なく含み、かつ、リンの含有量が低いものをピックアップしました。肥満気味の愛犬の場合はよりカロリーを控えめにしてあるものを選ぶとよいでしょう。(表示カロリーは100gあたり。パッケージ、成分等は予告なく変更される場合があります。)
パッケージ- メーカー/輸入販売元アニモンダロイヤルカナン
- 商品名
- タンパク質24%25%
- 脂質14%14%
- 炭水化物46%42.6%
- リン0.6%0.61%
- カロリー379kcal397kcal
- 保存料人工保存料不使用BHA使用
- コメントリンの量を下限値に収める一方でタンパク質は過不足なく摂取できる優秀なフード。リンの量を下限値に収める一方、タンパク質は過不足なく摂取できる優秀なフード。BHAの使用のみ残念。
パッケージ- メーカー/輸入販売元日本ヒルズ・コルゲートFORZA10
- 商品名
- タンパク質19.9%23%
- 脂質14.9%11%
- 炭水化物57.2%44.25%
- リン0.66%0.7%
- カロリー365kcal356kcal
- 保存料人工保存料不使用人工保存料不使用
- コメントリンの量を下限値に収め、同時にタンパク質量も低く抑えている。腎臓に最大限配慮しているが使用年齢には気をつけたい。リンの量を下限値に収める一方でタンパク質は過不足なく摂取できる優秀なフード。
パッケージ- メーカー/輸入販売元KMTプレイアーデン
- 商品名
- タンパク質18%23%
- 脂質6%13%
- 炭水化物56%46%
- リン0.75%0.8%
- カロリー333kcal361kcal
- 保存料人工保存料不使用人工保存料不使用
- コメントリンの量を下限値に収め、同時にタンパク質量も低く抑えている。腎臓に最大限配慮しているが使用年齢には気をつけたい。低カロリーでダイエット利用も◯リンの量を下限値に収める一方でタンパク質は過不足なく摂取できる優秀なフード。
パッケージ
—- メーカー/輸入販売元ハッピードッグ—
- 商品名—
- タンパク質21%—
- 脂質10%—
- 炭水化物52.5%—
- リン0.8%—
- カロリー342.3kcal—
- 保存料人工保存料不使用—
- コメントリンの量を下限値に収める一方でタンパク質は過不足なく摂取できる優秀なフード。低カロリーでダイエット利用も◯—
ハイシニア期に適したフード選びのポイント
ハイシニア期は大型犬で8歳〜、小型犬で11歳〜とされています。しかし個体差もありこの分け方が絶対ではありません。活動量と食事量が低下し、(消化能力の低下などで)体重減少が見られるようであればハイシニア期と考えてよいでしょう。(急にフードを食べなくなった場合は病院を受診することをおすすめします。)
太っていることは健康によくありませんが、痩せすぎもまた病気への抵抗力が低下するため不健康と考えられます。よって、ハイシニア期に適したフードは消化しやすく、高カロリー(食事量が少ない場合は少量でも必要なカロリーを摂取できるよう)、高栄養ということになります。
上記のような条件を満たすフードとして犬の成長期(子犬)用フードを与えるというのも良い選択肢ではないかと考えられます。
成長期の子犬用フードについて
離乳後の子犬の食欲不振とおすすめフード
健康にも問題がなく、色々対策を練ってみたけど、それでもご飯を食べてくれない。そんな時は当サービスにご相談ください。 アドバイザーが直接状況をお伺いいたしますので、次のことをあらかじめご確認ください。
- 犬種、年齢、性別、体重、去勢・避妊手術の有無、性格
- 使用しているフード名・おやつ
- 1日のフードの量と与え方
- 使っている薬またはサプリメント等
- いつから(どんな状況で)食べなくなったか
- これまでに試したこと
- 獣医師の診断の有無
- 飼育環境(室内or屋外、冷暖房、留守番の時間など)
- お散歩状況