犬は生後3〜4週齢になると離乳し固形食を食べ始めます。
しかしながらペットショップで販売されている子犬は生後56日(8週齢)を経過していなければ展示や販売ができません。(動物の愛護及び管理に関する法律)
よって離乳直後の子犬の世話をする機会はそう多くはないかもしれません。
今回は離乳後、生後2ヶ月程度経過した子犬の食欲不振についてその対処方法をご説明したいと思います。
子犬の食欲不振、考えられる原因と対処方法
緊張・ストレス
お迎えした当日は新しい環境で緊張しているということが考えられます。 落ち着ける場所を用意し構いすぎてしまわない様、ゆっくりと休ませてあげましょう。またいつでも飲めるよう新鮮な水と、フードを置いておきましょう。環境に慣れてくれば自分から食べるようになるでしょう。
病気の可能性
犬にとって食欲がなくなることは不健康を意味します。特に体力がない子犬の食欲不振は心配です。
お迎えした当日など新しい環境でのストレスがある場合でも、その次の日も置き餌や水をまったく摂らないようであれば早めに病院を受診するようにしましょう。
フードの嗜好性
ドッグフードを愛犬が好んで食べるかどうかの指標を「嗜好性」といいます。例えば、食いつきが良い場合は嗜好性が高い、またあまり食べないような場合は嗜好性が低いなどと言います。
嗜好性の要素は「味」「食感」そして「におい」などに分けることができ、犬の場合においが最も重要な要素です。
よって食いつきが思わしくない場合、「におい」を強くしてあげることが最も効果的な方法と言えます。
フードの匂いを強くする方法は下の記事を参考にしてください。
フードの匂いが原因?愛犬がご飯を食べない時の対処方法まとめ
愛犬の成長期はフードに注意して!
いろいろ試してみたけどやっぱり食べないということもあります。持病がなければ色々なフードにチャレンジし、愛犬の気に入るフードを探してみましょう。ここでは成長期の愛犬の体の変化から適切と思われるフードをいくつかご紹介します。(もちろん、ここで紹介するフードが全てではありません。)
犬の成長期っていつまで?
離乳後、犬の体は成長期を経て成犬になります。
成長期は小型犬と大型犬で違いがあり、概ね次のようになります。
犬の成長期
- 小型・中型犬:1歳まで
- 大型犬:1歳6ヶ月齢〜2歳まで
成長期の子犬の体は成犬に向けて急速に成長します。
生後2ヶ月齢以降の子犬が成犬となるまでに約2〜5倍体重が増加することからこの期間の食事が丈夫な体を作る土台となることが分かります。
成長期の食事の与え方
成長期を支えるためのエネルギーは成犬と比べ、体重1kg当たり約2倍、タンパク質、脂肪、カルシウムなど、ほとんどの栄養素も成犬期より多く必要になります。一方で消化機能が完全に発育しておらず一度にたくさん食べることができません。そこで高カロリーの食事を少量ずつ、複数回に分けて与えるとよいでしょう。
成長期の子犬の食事回数
- 生後2~3カ月齢:4~5回/日
- 生後4~5カ月齢:3~4回/日
- 生後6~7カ月齢:2~3回/日
- 生後8カ月齢以上:2回/日
成長期に必要な栄養
AAFCO(米国飼料検査官協会)推奨基準ではタンパク質(成犬期18%以上、成長期22%以上)、脂肪(成犬期5%以上、成長期8%以上)、カルシウム、リンなども比較的多めに摂取する必要があります。(%はドライフードに占める各栄養素の割合です)
一方、デンプンの消化能力は生後2ヶ月の子犬と成犬を比較した場合4〜5割程度しかないことが分かっています。つまり炭水化物を多く含むドッグフードは消化吸収できず下痢を起こす危険性があるということです。
(図:ロイヤルカナン犬と猫の栄養成分辞典より引用)
成長期の子犬に適したドッグフードとは
- ドライフードベースでタンパク質22%以上含むもの。
- 良質なエネルギー源となる脂質をドライフードベースで8%以上含むもの。
- 炭水化物はドライフードベースで30%以下であるもの。(年齢により消化能力は向上します)
(成犬用ドライフードの炭水化物含有量60%以下であることから)
生後4〜5ヶ月ごろからは脂肪組織が発達し始めるため、これ以降は肥満にならないようエネルギーの摂取量を調整する必要があります。(子犬の時期は2〜4週ごとに体重をチェックしましょう。)
成長期前半と同じ高カロリー・高栄養のフードを与えていると、カロリーオーバーになってしまう可能性がありますので注意が必要です。また大型犬の場合、急激な体重増加は股関節形成不全の原因となります。大型犬種の成長期の体重チェックはこまめに行いましょう。
成長期の最適なカロリー
成長期の最適なカロリーは下記の計算式から導けます。
飼っている愛犬について詳しく知りたい方はカロリー計算も行なっていますのでお気軽にご相談ください。
成長期の子犬の必要カロリー
(安静時エネルギー要求量) RER = 30×体重(kg)+70
- 体重が成犬時の約50%までの間: 3×RER
- それ以降: 2〜2.5×RER
- 体重が成犬時の80%に達した時点:1.8〜2×RER
子犬用フードの比較
ここまでお読みいただいた方は成長期の子犬がいかにタンパク質や良質なエネルギー源である脂質などの栄養素を必要としているかお分かりいただけていると思います。
ここでは市販されている子犬用(成長期用)のドッグフードの成分を比較し、適したフードを探してみたいと思います。
注目いただきたいポイントはタンパク質、脂質、炭水化物の量です。タンパク質は22%以上含み、脂質は8%以上、炭水化物30%前後を目安に選ぶと良いでしょう。(炭水化物の含有量の理想値30%以内)炭水化物量が多いと必然的に良質なエネルギー源である脂肪量が少なくなります。つまり量を食べなけば必要な栄養を摂取できないことになります。必要量を食べきれない子犬の場合、より炭水化物量の少ないフードを選ぶと良いでしょう。また、よく下痢を起こす場合も月齢が上がるまで炭水化物の量がより少ないフードに変える等の対策が有効です。
子犬のフード選びに迷ったらお気軽にフリーダイヤルまでご相談ください。(表示カロリーは100gでの値です。パッケージ、成分等は予告なく変更される場合があります。)
パッケージ- メーカー/輸入販売元
- 商品名
- タンパク質33%以上33%以上
- 脂質20%以上20%以上
- 炭水化物23%23%
- カロリー366kcal366kcal
- 保存料人工保存料不使用人工保存料不使用
- コメント成犬時の体重が最大9kgまでの小型犬の子犬用フードです。タンパク質の含有量が多く、炭水化物量は少ない成長期の理想的なフードです。成犬時の体重が9〜25kgになる中型犬の子犬用フードです。タンパク質の含有量が多く、炭水化物量は少ない成長期の理想的なフードです。
パッケージ- メーカー/輸入販売元バンガードインターナショナルフーズ
- 商品名
- タンパク質33%以上32.5%
- 脂質15%以上13%
- 炭水化物27%約37.5%
- カロリー337.5kcal345kcal
- 保存料人工保存料不使用人工保存料不使用
- コメント成犬時の体重が25kg以上になる大型犬の子犬用フードです。タンパク質の含有量が多く、炭水化物量は少ない成長期の理想的なフードです。タンパク質の含有量が多い一方、炭水化物量は多め。グレインフリーのため穀物アレルギーのある愛犬には嬉しい。
パッケージ- メーカー/輸入販売元アニモンダロイヤルカナン
- 商品名
- タンパク質30%30%
- 脂質20%19%
- 炭水化物約37%約34.2%
- カロリー399kcal422kcal
- 保存料人工保存料不使用BHA
- コメントタンパク質を豊富に含む一方、炭水化物量は多め。ドイツのBIO(有機)指定の人間用の食材のみを使用して作られている。タンパク質を豊富に含む一方、炭水化物量は多め。オメガ-6およびオメガ-3不飽和脂肪酸、DHAなど独自配合が嬉しい。酸化防止剤BHAの含有が残念。
パッケージ- メーカー/輸入販売元K9ナチュラルジャパンプレイアーデン
- 商品名
- タンパク質29.1%29%
- 脂質37.2%18.5%
- 炭水化物約18.2%約36%
- カロリー479.2kcal372kcal
- 保存料人工保存料不使用人工保存料不使用
- コメントタンパク質を豊富に含み、炭水化物量も少なめ。高カロリーで少量でも栄養素をしっかり摂取できる。穀物不使用でアレルギーのある愛犬に嬉しい。タンパク質を豊富に含む一方、炭水化物量は多め。人も食べられるヒューマングレードの原材料で作られたプレミアムフード。
パッケージ- メーカー/輸入販売元ブルーバッファロー・ジャパンハッピードッグ
- 商品名
- タンパク質29%以上29%
- 脂質17%以上16%
- 炭水化物約35.5%約39.5%
- カロリー373kcal365.3kcal
- 保存料人工保存料不使用人工保存料不使用
- コメントタンパク質を豊富に含む一方、炭水化物量は多め。脂肪酸のDHAとARAを特別配合。タンパク質を豊富に含む一方、炭水化物量は多め。
パッケージ- メーカー/輸入販売元ネスレ日本ネスレ日本
- 商品名
- タンパク質29%以上28%以上
- 脂質19%以上16%以上
- 炭水化物約30%約35%
- カロリー約388kcal約380kcal
- 保存料人工保存料不使用人工保存料不使用
- コメントタンパク質を豊富に含む一方、炭水化物量は多め。善玉菌を増やし腸内環境を整える特別配合。タンパク質を適切に配合、一方炭水化物量は多め。天然DHAなど特別配合。
パッケージ- メーカー/輸入販売元マースジャパンBiペットランド
- 商品名
- タンパク質27%以上26%以上
- 脂質14.5%以上16%以上
- 炭水化物約40.5%約41%
- カロリー約394kcal約356kcal
- 保存料BHA BHT使用人工保存料不使用
- コメントタンパク質を適切に配合、一方炭水化物量は多め。DHAを特別配合。BHA BHT使用が残念。タンパク質を適切に配合、一方炭水化物量は多め。アボガド成分を特別配合した特長的なフード。
パッケージ- メーカー/輸入販売元日本ヒルズ・コルゲートロイヤルカナン
- 商品名
- タンパク質25.5%以上25%以上
- 脂質16%以上16%以上
- 炭水化物約40.5%約40.4%
- カロリー約384kcal約398kcal
- 保存料人工保存料不使用BHA使用
- コメントタンパク質を適切に配合、一方炭水化物量は多め。高品質な魚油由来のDHAを配合。タンパク質を適切に配合、一方炭水化物量は多め。EPA・DHAなどを配合。保存料としてBHA使用が残念。
パッケージ- メーカー/輸入販売元ヤラー(YARRAH)—
- 商品名—
- タンパク質25%—
- 脂質15%—
- 炭水化物42.5%—
- カロリー405kcal—
- 保存料人工保存料不使用—
- コメントタンパク質を適切に配合、一方炭水化物量は多め。オーガニック認証済原材料を使用。ーーーーーー
健康にも問題がなく、色々対策を練ってみたけど、それでもご飯を食べてくれない。そんな時は当サービスにご相談ください。 アドバイザーが直接状況をお伺いいたしますので、次のことをあらかじめご確認ください。
- 犬種、年齢、性別、体重、去勢・避妊手術の有無、性格
- 使用しているフード名・おやつ
- 1日のフードの量と与え方
- 使っている薬またはサプリメント等
- いつから(どんな状況で)食べなくなったか
- これまでに試したこと
- 獣医師の診断の有無
- 飼育環境(室内or屋外、冷暖房、留守番の時間など)